「安かろう悪かろう」から脱却し、“料理の力”で選ばれる宿へ。
ある温泉地に位置する中規模の観光ホテル。
激安価格を打ち出すことで一時的な集客は確保していたものの、リピーターが育たず、利益も出にくい状態が続いていました。
客室や館内設備に手をかけられない分、料理で勝負すべきところ、そこでも大きな課題を抱えていたのです。
【当初の課題】
- ほぼ既製品で構成された会席料理
先付からデザートに至るまで、解凍して並べるだけの内容。味の評価も当然厳しいものでした。 - クチコミで酷評されるバイキング
「写真と違いすぎてがっかり」「感じの悪いスタッフに残念」など、料理・接客ともに評価は低迷。 - 料理評価は朝食4.07、夕食4.12
一般的な平均点を下回り、新規集客に苦戦。 - “聖域”と化した調理場
調理長が全権を握り、経営層も現場も口出しできない閉鎖的な体制。 - 施設改装ができない経営状態
館内や客室は老朽化が進行。結果「激安プラン」で売るしかない悪循環に。

【実施した施策】
- プロシェフの定期訪問&料理監修体制の導入
会席料理もバイキングもゼロから見直し、全品手作りを前提とした新レシピを導入。 - 味とレシピの一元管理
レシピの共有・見える化、変更時はシェフが即確認する体制に刷新。 - 出汁と素材の原点回帰
毎日一番出汁・二番出汁を丁寧にとり、香り高い和の基本を徹底。 - 地産地消の本格導入
地元の海鮮や旬の野菜を積極的に取り入れ、地域色のある料理を創出。 - SNSと連動した「料理改革」発信
美味しくなった実感をお客様と共有し、クチコミとファンを同時に育成。

【数字で見る成果】
- クチコミ改善:朝食4.07→4.57/夕食4.12→4.64
各種予約サイトの評価が劇的に上昇し、宿全体の価値が一変。 - 客単価12,000円→21,000円へ
価格競争から脱却し、「料理が目的で泊まる宿」に進化。 - 離職率も大幅改善
調理場の仕組み化により属人化を排除し、働きやすい現場を実現。

【現在の姿】
県内トップクラスの売上を誇る宿へと成長。
中規模でありながら、“料理で選ばれる宿”として年間稼働率97%を実現。
現在は「全国で一番料理の美味しい宿」を目指し、さらなる改善を継続しています。
