農園を持つ老舗旅館の料理体制再構築
課題:料理長退職による品質の不安定化
- 15年間料理を支えてきた料理長が退職
- 地方では和食人材の採用が難しく、現状は「できる範囲での料理提供」
- その影響で予約サイトのクチコミが不安定になり、運営リスクが顕在化
レシピの見える化と再現性のある仕込み体制へ
- 前料理長は当日仕込み・目分量中心の職人タイプ
- レシピ化が進んでおらず、属人化リスクが高い状態
- 味の基準を数値化し、真空調理や事前仕込みを導入
- 少人数体制でも安定して回る調理フローへ移行
宿の価値:自然・四季・特徴ある風呂と「健康の滞在体験」
- 客室数30室超、主な客層は60歳以上
- 四季や自然を五感で味わう、静かな山間部の立地
- 特徴ある風呂を通じ、「ただいるだけの自分を大切にする」滞在体験
- 隣接農園の夏野菜など、素材面でも大きな強みを持つ環境
見直しポイント(提供品質・構成・原価・オペレーション)
- 熱いものは熱く、冷たいものは冷たく提供する徹底
- すべての料理をレシピ化し、再現性を確保
- 料理提供順を再設計し、コースとしての流れを強化
- 味付けのばらつきを抑え、品質を安定化
- 原価計算を整備し、数字に基づく運営へ
- 調理スタッフ以外でも仕込みや段取りができる構成に改変
- 朝食ハーフバイキングを強化し、満足度を底上げ
現地確認では、自然環境の素晴らしさ、館内のこだわり、十分な調理場・食事会場の広さが確認できました。
魅力を正しく発信し、料理の再現性を整えることで、評価の安定化と満足度向上を目指します。
担当シェフ:日本料理Kシェフ
六日町温泉 龍氣 初月レポート
2025年12月よりスタートした、新潟県六日町温泉・龍氣様の料理体制再構築プロジェクト。
初月は「料理を変える」前に、
まず宿の現在地を正確に把握することから始めました。
まず行ったこと ― 現状の徹底確認
料理改革は、感覚ではなく構造から整えます。
初月に実施した主な確認項目は以下の通りです。
・宿としての方向性の再確認
・人員体制とスタッフの業務分担
・在庫管理・仕入れ状況の把握
・調理場内の役割分担
・予約状況と客数推移
・お客様の反応、クチコミ状況
・現メニューの調理負担とオペレーション
・求める味の方向性
・食材原価の確認
・現料理人の味付け傾向の分析
・宿の魅力と料理の掛け合わせの可能性
料理は単体で存在するものではありません。
宿の世界観・客層・価格帯・オペレーションと噛み合って初めて機能します。
現場を見て感じたこと
Kシェフと共に現場を確認した率直な感想は、
「本気で料理を変えようとしている宿である」
ということでした。





料理改革への期待値は高く、
経営側も明確に“料理に力を入れていく”という姿勢を持たれています。
また、調理場は非常に清潔で整理整頓が行き届いており、改善の成果が数字やクチコミに出やすい環境だと感じました。
土台は、すでに整っています。
課題として見えたポイント
一方で、基本の部分にいくつか改善余地がありました。
特に大きかったのは、
「熱いものは熱く、冷たいものは冷たく」
という提供の基本が徹底されていない点。
味そのもの以前に、
提供温度が料理の印象を左右してしまっている場面がありました。
そこで、
・仕込みタイミングの調整
・盛り付け、提供順の見直し
・温熱庫の温度変更
など、具体的な改善方法をその場で指導しました。
料理改革は、特別な技術よりも
「基本の徹底」から始まります。
現状メニューの可視化
現在提供されている料理内容は、
本記事内のギャラリーにてご覧いただけます。








現状を正しく見ることが、
次の一手を明確にします。
次月の取り組み
次月からは、
・新メニュー2品(夕食)の導入指導
・既存メニューの改善状況確認
・味の安定化と原価管理の整理
を進めていきます。
料理体制の再構築は、一気に変えるのではなく、
確実に積み上げていくことが重要です。
六日町の澄んだ空気、
自然と融合した空間、
薬石風呂という唯一無二の魅力。
この宿のポテンシャルは非常に高い。
料理が整えば、評価は必ず安定します。
来月の進捗も、改めてご報告いたします。